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保険医新聞9月号主張
当面の医療運動対策と課題
「健康保険証を残してください」請願署名、オンライン請求実質義務化阻止、医療費総枠拡大
「マイナ保険証」を巡って医療現場での様々なトラブルが止まらない状況である。運用を開始している医療機関の65%で何らかのトラブルを抱えている。資格確認で資格無効・該当なしやカードリーダーやマイナンバーカードの不具合で資格確認できず、窓口でいったん10割負担になる、負担割合が違うなどの事例が多発している。厚労省は通知で「資格確認できない場合の対応について」を発出し、資格情報等が確認できなかった場合、保険者番号等は「不詳」のまま請求できるとしているが、保険証があれば生じない手間を医療機関も患者もさらには審査支払機関、保険者も負うこととなり、患者への説明や手続きの複雑化によるトラブルは回避できない状況である。8月より、資格確認ができない場合は、患者に「被保険者資格申立書」を記入してもらい、患者が申し立てた自己負担分(3割分等)を徴収することとなったが、保険証があれば済むことをなぜわざわざしないといけないのであろう。事務手続きの混乱や患者とのトラブルが生じるだけであろう。岸田内閣の支持率は3カ月連続して下降しており、国民は保険証の廃止を望んでいないのは明らかである。国民は圧倒的に保険証の存続を求めており、当協会では9月から新たにスタートする「現行の健康保険証を残してください」一点での一般の方にも分かりやすい請願署名の取り組みを強めていく。
さて、消費者物価指数は前年度より平均で3.0%上昇し、未曾有の物価高騰はすべての医療機関にも大きな影響を与えている。保団連の調査では、物価高騰により「経営の危機」「廃業を考える」などの意見も寄せられている。国は「骨太方針2023」で物価高騰に配慮するとしているが具体的なものは示しておらず、診療報酬を引き上げる方向性は明示していない。当協会では地域医療をささえるすべての医療機関を守り、すべての医療従事者の賃金引き上げを実現するために、「診療報酬の引き上げ」の取り組みを強めていく。「骨太の方針」に記載された今後の医療・介護の負担増に対抗し、防衛費増大、医療・社会保障費抑制政策からの転換、さらなる患者負担増のストップを求めていく。
そして、「オンライン資格確認義務化撤回」とともに、これに乗じておこなわれた「オンライン請求実質義務化」について、アンケート結果の発信、厚労省要請、地元国会議員への要請、医師会・歯科医師会への要請を行い、撤回に向けて取り組んでいく。
また、歯科医療費総枠拡大、金パラ逆ザヤ問題の解消にも引き続き取り組んでいく。新型コロナウイルス感染症対策についても、五類引き下げ後においても各種医療体制の充実・確保、治療薬の公費負担の継続などを求める要請を引き続いて行っていく。さらに、子ども医療費無料化、妊産婦医療費の助成の充実、帯状疱疹ワクチンの助成制度の創設などを国や自治体に要請していく。岸田政権は、「出産費用の保険適応」を異次元の少子化対策の目玉にしようとしているが、是非なども含めて注意深く状況把握をしていく必要がある。
当協会では、今後も「現行の健康保険証を残してください」の署名や「コロナ5類移行後アンケート」などを行ってまいりますので、是非ご協力をお願いします。最近、残念なことですが、オンライン資格確認導入困難や高齢、経営困難などが理由と思われる廃院や廃業をする先生が増えており、会員数が減少傾向にあります。会員の先生におかれましては、是非新規開業や継承の先生のご紹介をお願いします。様々な医療問題や課題に一緒に挑んで参りましょう。
(2023-09)