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保険医新聞6月号主張

安心して歯科治療が受けられる社会に
 口腔環境の良し悪しが全身の健康に深く関与していることが広く知られるようになり、糖尿病や動脈硬化など全身疾患改善のためにも歯周病治療の重要性が高まっております。前回の診療報酬改定で、有病者の医科歯科連携を評価した歯科治療総合医療管理料の算定方法が見直されるなど、健康長寿社会に向けた歯科医療の役割はますます重要になっています。

 格差と貧困が広がる中、社会保障費の自然増圧縮のために医療保険・介護保険ともに様々な患者負担増計画が進められており、経済的理由により早期受診や治療の継続も妨げられています。特に高齢者は、年金支給額が減る傍らで、保険料などの負担は引き上げられており、治療を我慢している方も増えています。また最近は、患者から治療費について聞かれることも増えており、前装金属冠やブリッジなど、保険診療であっても治療費に驚かれる方もみえます。

 高齢化や医療技術の進歩により国民医療費は増え続けていますが、歯科医療費は長期間低く抑えられ、国民医療費における歯科医療費の割合は2015年度で6.8%となっています。そのため、保険診療である程度の歯科治療はできるものの、広く普及しているのに保険適用されていない項目が依然多く残っています。例えば、歯垢が付きにくい自然の歯に近いセラミックの前歯や、金属を用いたフィット感の良い義歯、子どもの不正咬合(悪いかみ合わせ)の歯科矯正などが保険適用されておりません。

 「お金の心配なしに受診したい」「保険のきく治療範囲を広げて欲しい」、これらは患者・国民に共通する切実な願いです。

 「保険で良い歯科医療」の実現を求める請願署名は、2007年以降、総計143万筆超に達しました。請願結果は、残念ながらいずれも厚生労働委員会で審議未了でしたが、診療報酬の改善、保険給付の一部拡大などに繋がっています。

 協会では「保険で良い歯科医療の実現」を求める請願署名を通じて、窓口負担軽減、社会保障予算の増額や新規技術の保険導入を求めてまいります。満足できる2018年度の診療報酬・介護報酬同時改定に向けて、歯科に限らず医科の先生方も是非ともご協力賜りますようお願い申し上げます。

(2017-06)