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【政策部・医科社保部声明】
初診からのオンライン診療の恒久化に強く反対します
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菅首相は9月16日の首相就任記者会見において、新型コロナウイルス感染拡大により初診が解禁されているオンライン診療について恒久化を目指す方針を表明しました。首相の指示を受け、田村厚生労働大臣は河野規制改革担当大臣、平井デジタル改革担当大臣と会談し新型コロナウイルス感染症収束後もオンライン診療について「安全性、信頼性をベースに初診を含め原則解禁する」ことで合意したことを明らかにしました。
新型コロナウイルス感染症拡大の中、受診機会を保証するため緊急避難的な措置として、初診からのオンライン診療・電話診療が4月から時限的な特例として認められています。しかし、対面診療と比較して取得できる診療情報が大きく制限されるオンライン診療を初診の患者から行うことは、疾患の見落とし等の誤診の可能性など大きなリスクがあることは明らかです。特例下における実績報告から、処方薬剤や日数制限などのルールが順守されていない、遠方地の患者を診察している、重篤疾患の可能性がある症例の受診勧奨が少ないなどの問題点が指摘されています。当会が行った会員へのアンケートではオンライン診療の推進においておよそ6割は評価しないと回答しています。
他方、新型コロナウイルス感染症拡大が続く中、受診機会を保証することは必要です。オンライン診療の特例については当初の方針に従い、定期的(原則3か月ごと)に検証を行い、継続の可否などが判断されています。そして医療従事者や医療専門家が集う厚労省のオンライン診療指針見直し検討会が示す判断が尊重されるべきです。新型コロナウイルス感染状況が収束に至った段階では、通常のオンライン診療等の取り扱いに戻すことが必要です。
政府、規制改革推進会議やIT業界などが強調する「デジタル化」促進や「患者の利便性」ばかりが強調され、医療の安全の確保が後景に追いやられ、特例がなし崩し的に継続され、さらに要件が緩和されるようなことは大きな問題です。医療の質・安全・安心の担保が不可欠であり、医療事故の増加が強く危惧されるオンライン診療の初診からの恒久化は断じてすべきではありません。
2020年11月13日
岐阜県保険医協会
政策部長 竹田智雄
医科社保部長 加藤悟司
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