かかりつけ医機能を有する医療機関への評価として新設された機能強化加算、抗菌薬の適正使用を推進するために新設された小児抗菌薬適正使用支援加算、ベンゾジアゼピン系薬剤を長期処方した場合の処方料・処方箋料の減算など、今次改定も多岐にわたりました。こうした改定を当会員はどのように受け止めたのでしょうか。協会が四月に行った改定アンケートに寄せられた意見の一部を紹介します。(編集上一部文言を変更した箇所があります。)
加算が多すぎる。ややこしいことはせず、
初診料、再診料の本体を上げること。(60代・内科開業医)
● 今回の改定自体は限られた予算の中ではある程度評価されるべきと考えます。ただ、医療の現場は日々変化しており、実態に準じた報酬になるように協会からの働きかけを期待しています。(40代・内科開業医)
● 一人で細々と休日も夜間も往診、訪問診察など休みなく、残薬調整、各医療機関との連携などのかかりつけ医の役割を果たしてきたと自負しているが(当然のことと思っているが)、かかりつけ医の機能強化加算や地域包括診療加算を請求するにはハードルが高く失望しています。(60代・内科開業医)
● 普段、「かかりつけ医」と自任し、往診、訪問診療、在宅看取り等も行っていますが、保険診療上は「かかりつけ医ではない(かかりつけ医と認められない)」事は残念です。ベンゾジアゼピン系薬剤の取り扱いにも理不尽さを感じます。当院のような医療過疎地では各科にわたる患者さんが訪れます。当然、うつ病、心身症の患者さんもおられます。時間を掛けて診察し挙句の果てが処方箋料の減額では国の無慈悲さを感じます。診察料と処方箋料に頼っている当院では処方料の減額は死活問題です。(70代・内科開業医)
● 新設された項目は、算定要件のハードルが高く、到底高齢な開業医には算定出来ないことが多い。世間一般に時短が言われているが、開業医は人間として扱われてないと考える。(60代・内科開業医)
● 今回の改定は、一般開業医にとってメリットが全くない。純粋に初診料金、再診料金を値上げしてもらった方がよいと思います。(60代・内科開業医)
● さじかげんと言う医師の自由度がますます狭くなって来ている。医は算術の人達が増えて来たためでしょうが…増々アメリカの現状に近づき、保険の関与が多くなり、お金のない人は十分な治療が受けられない方向に近づいている様な気配ですね。医は仁術の教育を受けた人は住みにくい世になって来ています。(70代・内科開業医)
● 在宅医療を国はすすめているが、実態(大変さ)がわかっていない。(70代・内科開業医)
● 再診料の適当な値上げをするだけで良い。(80歳以上・内科開業医)
● 妊婦加算の運用がむずかしい。途中流産とかしていたら、産婦人科以外でそれを申告させるなどはデリケートな問題で無理があると思う。(50代・眼科開業医)
● 機能強化加算について患者の負担増となるので届出の予定なし。小手先の改定ばかり。(50代・内科開業医)
● 機能強化加算や地域包括診療加算については、普通の診療を行っていれば十分算定できる要件である。あたりまえの事が評価されており、今回の改定を評価します。やってあたり前の事が成されて無い所が多い気がします。(40代・内科開業医)
● <機能強化加算>80点でなく200点にする。<複数医療機関による訪問診療>1回→3回。<オンライン診療>70点→140点、100点→200点。在宅の場合で遠隔診療は70点→200点とする。(60代・内科開業医)
● ベンゾジアゼピンの事案は無謀です。睡眠薬をのむなということでしょうか?わざわざ高い“ベルソムラ”“ロゼレム”へ変えろということでしょうか?全く理解できません。即刻中止にしてもらいたいです。(50代・内科開業医)
● 今までベンゾ系の薬を使ってきて全く問題になっていないのに、なぜ1年以上で減点するのか。医師が必要と認める場合は、制限するのはおかしい。国が国民に対しもっと啓発活動を行い、国民も納得の上での変更なら仕方ないと思うが。(50代・内科開業医)
● 安易にベンゾジアゼピン系薬剤が処方されています。医師として全くなげかわしいです。(70代・内科勤務医・病院)
● 耳鼻科について言えば手術点数のupは大切。勤務医へのモチベーションに繋がる。開業医に対してはやはり初診、再診料のupが各科に公平であると思われる。抗菌薬の適正使用について診療科を限定するのはいかがなものか。(50代・耳鼻咽喉科開業医)
● 抗菌薬の適正使用は現在も行なっており、特別なことではない。条件など示さず、病名と初診と抗菌剤投与したかった理由をコメントにのせればいいだけのこと。オンライン診療はオンライン機器の条件があいまいでよく理解できない。もっと簡単にできるはず。(50代・小児科開業医)
● オンライン診療は大いに興味がありましたが、チョット複雑すぎますね。(60代・内科開業医)
● 遠隔診療の地域(過疎、離島等)はごく一部であり、必要な地域には報酬を高くし、必要性の少ない地域では禁止すべきではないかと考えます。(70代・外科開業医)
● オンライン診療は現場との乖離がはなはだしい。(50代・内科開業医)
ガイドラインありきで医師個人の裁量が制限されてきています。
又レセプト請求に際し、項目が複雑化し事務員が当惑しており、
簡素を望みます。(70代・耳鼻咽喉科開業医・有床診)
● 点数が少し上がるより、患者にも分かりやすい診療報酬の体制にして欲しい。(60代・内科開業医)
● 加算の追加という形式で、診療報酬の増加が行われるようになり、益々複雑化している。単純明快な形式にしてほしい。(70代・内科開業医)
● 書類ばかり増えて、本来の診療への支障が出はじめた。(40代・内科勤務医)
● 年々医療制度が変わりすぎで一人診療所の医師が医療制度についてゆけない感じがする。(80歳以上・内科開業医)
●(産)婦人科領域の指導料を新設希望。(思春期月経不順、月経困難症、更年期障害)(60代・産婦人科開業医)
● 入院中の患者の他科受診に対しての病院の負担が大きい!!専門でない他科受診患者が重症だと長く通院したり費用に困る。(70代・精神科勤務医・病院)
● 「比較的」高薬価の薬剤をもっと積極的に下げてほしい。(60代・皮膚科開業医)
● 院外薬局の調剤料を下げるべき。(60代・小児科開業医)
● 消費税が10%に上がる時にどうなるのでしょうか?(50代・内科開業医)
(岐阜県保険医新聞2018年5月10日号)
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